食塩水の濃度の問題を基礎/標準/難問ごとに解説|高校入試数学の方程式の文章題

食塩水の濃度の問題難問まで

坂田先生
中学数学で学習する『食塩水の濃度の問題』を難易度別に解説します。(後半ほど難問です)
ここに掲載した問題の効果的な使い方
にゃんこ
『方程式の文章題』でも特に食塩水の濃度の問題が苦手で困っているという方はここで対策をしてください。
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食塩水の濃度の問題:基礎レベル

混ぜる問題

6%の食塩水Aと12%の食塩水Bをそれぞれ何gずつ混ぜると、濃度10%の食塩水が300gできるか?

食塩水Aの重さをAg、食塩水Bの重さをBgとします。
次のように、食塩水と食塩の重さや濃度が一覧でわかるようにまとめます。
表を見ながら、どこが同じになるだろうかと探します。
食塩水の濃度の方程式の解説とら
にゃんこ
この解説の場合は、連立方程式を使って解いていますが、連立方程式を習っていない中学1年生でも十分出題される問題です。

食塩水Bgを、300-A と表してあげれば、Aという文字1種類で方程式を作ることができます。

食塩の重さのところで、このような方程式が完成しますね。
1つの方程式で解く場合

混ぜる問題2

濃度5%の食塩水Aと、濃度のわからない食塩水Bがある。
食塩水Aから400g、食塩水Bから100gを取り出して混ぜ合わせたら、濃度12%の食塩水ができた。
食塩水Bの濃度を求めなさい。

食塩水の濃度の方程式たつまきこのように基本的には、食塩水で方程式を作り、食塩で方程式を作る、という場合が多いです。
濃度は食塩の重さを求める計算に使います。
【ご注意ください】食塩は水100gに36g位まで溶けて飽和してしまう(それ以上解けない状態になってしまう)ので、このx=40を吟味した結果「ありえない」となります。(問題の設定が間違っていました。すみません。)
立式の工程を学ぶ参考としてください。
2通りに混ぜる問題

食塩水Aを400gと、食塩水Bを400g混ぜると、濃度3%の食塩水ができた。
食塩水Aを200gと、食塩水Bを300g混ぜると、濃度2.5%の食塩水ができた。
食塩水A、Bの濃度をそれぞれ求めなさい。

二通りの混ぜ方典型的な連立方程式のパターンです。2通りの混ぜ方があるので、表を2通り作り、それぞれで方程式を探しましょう。
そうして発見した2つの方程式を、連立方程式で解いて完了です。
水を加えるパターン

5%の食塩水Aと、15%の食塩水Bをそれぞれすべて混ぜて、そこに100gの水を加えたら、濃度10%の食塩水500グラムができた。
食塩水A、Bはそれぞれ何gだったか?

食塩水の濃度の方程式の解説ね水を加えるということは、水を加えただけ食塩水の重さが増えるということです。また、水を加えても食塩の重さは増えない、という点にも注意しましょう。
これもまた、食塩の重さで方程式を作り、食塩水の重さでも方程式を作って、連立方程式で答えを求めます。
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食塩水の濃度の問題:標準レベル

水を加えるパターン2

濃度が異なる400gの食塩水Aと400gの食塩水Bをすべてまぜたら、濃度5%の食塩水ができた。
そこに水200gを加えたら、食塩水Aと同じ濃度になった。
食塩水A、Bの濃度はそれぞれ何%?

食塩水の濃度の方程式の解説うし水を加える、ということは、濃度や食塩水の量は変わりつつも、食塩の量は変わらない、ということです。
その点に注目して、表を書き、方程式を発見しましょう。
AとBをまぜた食塩水の塩の量と、そこからさらに水を加えた液体の塩の量は同じになります。(②の方程式)
水を加えるパターン3

濃度4%の食塩水Aと、濃度16%の食塩水Bがある。
食塩水Bは食塩水Aよりも40g多い。
食塩水AとBをすべて混ぜ合わせたものに、さらに食塩水Aと同じ重さの水を混ぜ合わせたら、濃度8%の食塩水ができた。
食塩水Aは何gだったか?

食塩水の濃度の方程式ひとつの式食塩水Aは何gだったか?と聞いているので、そこをxとしましょう。
すると食塩水Bはx+40(g)と表せます。
この二つの液体を混ぜたあとにxgの水を加えるので、このような表にまとめることができます。
水と食塩を加えるパターン

濃度5%の食塩水200gに、水170gと食塩を加えて、濃度10%の食塩水をつくりたい。
何gの食塩を加えるとそのようになるか?

食塩水の濃度の方程式とりもともと200gの食塩水に水170gと塩xgを加えるのですから、完成した食塩水は200+170+x (g)になります。
その濃度が10%なので、食塩の重さを式で表すことができます。
その食塩の重さは、水170gと塩を加える前の液体中になった食塩の重さ(10g)よりもxg分増えていることになりますので、10+x(g)とも表すことができます。
この2通りに表した食塩の重さを=でつなぐと方程式の完成です。
一部だけ混ぜるパターン

濃度16%の食塩水Aと、濃度8%の食塩水Bがある。
食塩水Aの2分の1と、Bの食塩水すべてを混ぜ合わせたら、濃度12%の食塩水800gができた。
食塩水Aと食塩水Bはそれぞれ何gあったか?

食塩水の濃度の方程式28
食塩水Aのほうは全てまぜないで、その半分だけを混ぜました。
なので、Bの全部とAの半分を合わせて800gの食塩水ができたということです。(方程式②)
坂田先生
また、混ぜた液体に含まれている食塩の重さも二通りに表すことができます。
にゃんこ
Bに含まれている食塩の重さを計算

Aの半分に含まれている食塩の重さを計算

それを足したものが『まぜた液体に含まれている食塩の量』になる。(1通り目)
にゃんこ
濃度12%に含まれている800gの食塩水の食塩の重さを計算で求める。(2通り目)
坂田先生
この2通りに表した式を=でつなぐと方程式①のできあがりです。
水を蒸発させるパターン

濃度が9%の食塩水300gを煮詰めて水を蒸発させ、濃度12%の食塩水をつくりたい。
水を何g蒸発させればよいか。

蒸発させるパターン
~ポイント~
食塩水を煮詰めて水を蒸発させるということは、食塩水の中に含まれる水の量だけ減りつつも、食塩の量はそのまま変わらない、ということです。この点に注目して、水を蒸発させる前の食塩水の塩の重さと、水を蒸発させた後の食塩水の塩の重さを=でつないで方程式を作ります。
 

食塩水の濃度の問題:やや難問~難問レベル

比による計算

濃度6%の食塩水Aと、濃度14%の食塩水Bがある。
食塩水Aと食塩水Bを2:3の量で混ぜて、そこに水を加えたところ、濃度9%の食塩水600gができた。
加えた水は何gだったか。

食塩水Aと食塩水Bの重さをそれぞれx、yとして、食塩の重さについての方程式を立てます。
濃度で比の計算
気をつけてほしいのが、x+y=600ではない、ということです。
600gというのは、x+y+加えた水の重さなので、ここでは方程式は作りません。
2回混ぜるパターン

Aの容器には濃度x%の食塩水400g、Bの容器には濃度y%の食塩水500gが入っている。
AからBへ100gの食塩水を移し、よくかき混ぜた後に、BからAへ200gの食塩水を戻して、よくかき混ぜたところ、Aの食塩水の濃度が7%、Bの食塩水の濃度が8.5%になった。
xとyを求めよ。

この問題のように、混ぜる操作を2回おこなう場合は、1回目の操作と2回目の操作をまずは整理して表にするところが難しいかもしれません。
なので、難しいと感じた場合は、まずはその練習をしてください。
表を見ながら、どことどこが同じになるだろう?と発見する作業が次の作業になります。
食塩水の濃度の難問:お茶の水女子大付属高校の入試問題解法1
坂田先生
この緑の部分で方程式を作ることができなかった場合は、次の別解でクリアするという手もあります。(両方できるようにしておくと実力アップします。)
食塩水の濃度の難問:お茶の水女子大付属高校の入試問題解法2
にゃんこ
猫さんマークの説明です。
方程式の文章題でも濃度の問題が苦手という場合、このような所で難しく感じている場合もあります。
つまり、濃度の文字式が複雑な場合、です。
濃度の文字式が複雑だった時、食塩の重さを文字式で表すことができない、という方はこの説明をご覧ください。
濃度の数値が複雑な文字式の場合の表現方法

二次方程式を使った食塩水の濃度の超難問

にゃんこ
志望校によっては、ここまで難しい問題の対策を必要としない方がたくさんいると思うので、そんな方はできなくても問題ないです。
二次方程式を使った濃度の超難問

3つの容器A、B、Cがある。
最初、容器A、Bにはそれぞれ100gの食塩水が入っていて、容器A、Bの濃度はそれぞれp%、q%である。
容器Cは空である。

(1)(操作)を1回行ったあとの容器A、Bの食塩水の濃度(%)をそれぞれp、q、xを用いて表せ。

(2)q=10とする。(操作)を1回行うと、容器Aの食塩水の濃度は4%になった。このことを \(x^{2}-x+1=t\) とおいて、Pとtのみの関係式で表せ。

(3)(2)のとき、さらにもう一回(操作)を行うと、容器Bの食塩水の濃度は8%になった。このとき、p、xの値をそれぞれ求めよ。

(灘高校)

坂田先生
説明がものすごく長くなってしまったので、この問題は動画で解説しています。

坂田先生
このページの学習は以上です。
坂田先生
他の文章題のテーマを練習したい方は活用してください。