放物線の応用問題|平行線の補助線で解くパターン|中学数学~高校入試

放物線と平行線

にゃんこ
ここでは、中学数学から高校入試対策で取り扱う、yがxの2乗に比例するグラフの問題を難問まで解説します。
坂田先生
このページの学習テーマは『放物線のグラフに、平行線の補助線を利用する』です。
にゃんこ
放物線の応用問題に対して、平行線の補助線を利用することで、スマートに解く方法を学べます。(後半は、補助線を利用しないで普通に解く方法をご紹介します。)
注意:もしも難しいと感じたら
にゃんこ
こちらにて、1から学習できる考え方を解説しています。
面積比全パターンサムネ
坂田先生
このページと同じパターンの問題をふくめ、面積比についてもっと基礎の基礎から丁寧に解説しています。
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yがxの2乗に比例する関数のグラフ|標準~難問

放物線のグラフと平行線の問題

中学数学:二次関数の難問グラフ図のように、yがxの2乗に比例する関数のグラフ \(y=x^{2}\)と直線ℓは2点A、Bで交わっている。
2点A、BのX座標はそれぞれ-1、3である。
△ABCの面積が△OABの面積の2倍となるとき、点Cのx座標を求めよ。
ただし、点Cはx軸上の点とし、点CのX座標は正とする。
(明訓高校の高校入試の過去問:改)

答:\(\dfrac{3}{2}\)

坂田先生
まず下準備として、△OABの面積を求めます。
中学数学:二次関数の難問グラフの解説下準備
にゃんこ
まず、点Aと点Bの座標を求め、それをもとに直線ℓの方程式を求めます。
坂田先生
直線ℓは一次関数のグラフですが、そのy切片の情報を利用します。
にゃんこ
一次関数のy切片は3だとわかったので、△OABを面積を求める際の「底辺」の長さにそれがあたります。
坂田先生
よって、△OABの面積が6だということがわかりました。
にゃんこ
これで下準備が完了です。さて、問題にもどりましょう。

△ABCの面積が△OABの面積の2倍となるとき、点Cのx座標を求めよ。
ただし、点Cはx軸上の点とし、点CのX座標は正とする。

にゃんこ
△OABの面積の2倍とはつまり、12のことですね。
坂田先生
まず、下の図における点Eの座標を求めます。
中学数学:二次関数の難問グラフの解説
答:\(\dfrac{3}{2}\)
まずは直線ABの方程式を求めます。

次に直線ABに対して平行で、なおかつ点cを通る補助線を書き加えます。

その補助線とy軸との交点を点Eとします。
平行線の補助線で同じ面積を考える
すると、△ABCと△ABEの面積が同じになります。

なので、まずは△ABEの面積が△OABの面積の2倍になるような点Eを求めます。
放物線と平行線の補助線01
点Eを求めることで、書き加えた補助線の方程式がわかります。

※傾きは直線ABと同じで、y切片は点Eのy座標です。
放物線と平行線の補助線02
その補助線の方程式とx軸とが交わる交点のx座標を求めます。(直線の方程式にy=0を代入します。)

これが求める点Cのx座標になります。

~学習ポイント~
直線の方程式と、放物線の方程式の交点を求める場合、それら二つの式を連立方程式で解きましょう。それによって得られたxの値とyの値が交点の座標になります。交点が二か所ある場合は、xの値もyの値も2つずつ得られることになります。その2か所の座標のうち、問題の条件に適したものを選びます。
放物線のグラフと平行線の難問

二次関数のグラフの難問2図のような放物線 \(y=ax^{2}\) のグラフと、直線ℓの交点をA、Bとする。
直線ℓとy軸とは点Cで交わっている。
点Bの座標は(2,8)である。
△BCOの面積は△ACOの面積の2倍である。

(1)直線ℓの方程式を求めよ。

(2)放物線 \(y=ax^{2}\) のグラフ上にある点Dが、x座標が2より大きく、なおかつ、△ABDの面積が△OABの面積の2倍であるという条件を満たす。このとき、点Dの座標を求めよ。

答:\(y=2x+4\)

二次関数のグラフと直線の方程式の問題の解説

坂田先生
ここで難しいポイントは『三角形の面積比が1対2』『三角形の底辺の長さが同じ』ということから『三角形の高さの比が1:2』ということを利用することに気が付くかどうかです。
にゃんこ
これにより、点AのX座標が求まるというワケです。
答:(3,18)
平行線と放物線の交点を求める解法
~学習ポイント~
平行線を補助線に引き、まずはその補助線の方程式を求めます。その後、その補助線と放物線の交点の座標を求めることで解答へと至るパターンです。なぜ、補助線が有効かというと、後半でご紹介する別解を参考にしてください。普通に解いたら手間がかかってしまうということがわかるでしょう。次の問題もそのようなコンセプトです。
放物線のグラフと平行線の難問2

二次関数グラフの難問3問目図のように、yがxの2乗に比例する関数 \(y=ax^{2}\) のグラフと直線ℓの交点をA、Bとする。
直線ℓとy軸との交点をCとする。
点Aの座標は(-8,-16)である。
点Bのx座標は正で、y座標は-1である。

(1)直線ℓの方程式を求めよ。

(2)△BOCと△AOCの面積比を最も簡単な整数の比で表せ。

(3)放物線上の点Oから点Aまでの部分に、点Pを△APCの面積が△AOBの面積の\(\dfrac{4}{5}\)倍になるようにとる。このときの点Pの座標を求めよ。ただし点Pは点O、点Aのどちらとも異なるものとする。

答: \(y=\dfrac{3}{2}x-4\)

二次関数のグラフの難問3の解法1

答:1:4

解法パターン1:二つの三角形の面積を求めて比を求める方法

にゃんこ
直線ℓの方程式が明らかになったので、\(y=\dfrac{3}{2}x-4\)のy切片である-4から、線分OCの長さが4である、ということがわかります。
坂田先生
これを利用して△BOCと△AOCの面積をそれぞれ求める方法がこちらです。
二次関数のグラフの難問3の解法2の2

解法パターン2:二つの三角形の高さの比を利用する方法

坂田先生
二つの三角形の底辺は、長さが共通しているので、同じ長さということがわかります。(ともに4ですよね)
にゃんこ
なので、下の図のように並べると、面積の比は、高さの比と等しくなるということがわかります。それを利用します。

二次関数グラフの難問3の解法2の1

にゃんこ
この解法の利点は、直線ℓの方程式を完成させなくても、面積比を求めることができる、という点です。
坂田先生
たとえば問題文に△AOBの面積が明らかになっていた場合、まずはこの面積比を求めることで、△BOCと△AOCの面積を別々に求めることができます。
にゃんこ
さらに、その2つの三角形の底辺を求めることができ、点Cの座標まで解明することができます。
答:(-6,-9)
まず、△AOBの面積を確認しておきます。
三角形AOBの面積を求める方法
以上により、△AOBの面積は20となります。

直線ℓに平行で、点Pを通る補助線を以下のように書き込み、補助線とy軸との交点をEとします。

△APCの面積と△AECの面積が等しいので、△AECの面積が△AOBの面積20の5分の4倍になる点Eを求めます。

書き込んだ補助線の方程式のy切片を−nとすると、線分ECは4-nと表現できます。

平行線の補助線で同じ面積を考える3の1
方程式を解いた結果、nの値が0ということは『補助線のy切片が0』だということ、つまり、補助線は原点oを通るということです。
平行線の補助線で同じ面積を考える3の2
補助線と放物線の交点が求める点Pの座標なので、連立方程式で解き、完了です。

このあと解説している【別解編】は計算で押し切るという方法ですが、おすすめしないので、平行線の補助線で解く手順をマスターしておいてください。
坂田先生
座標平面上の三角形が出題された場合の等積変形について、まずは基本からマスターしたい方はこちら↓をどうぞ。
学習ページ:等積変形をグラフで応用し座標平面上の三角形の面積を求める手順
等積変形グラフ編3枚

放物線のグラフの応用問題の解き方|別解編

坂田先生
ここからは、先程の後半2つ問題のさらなる別解を紹介します。(ただし、以下は時間がかかるので、前半ですでに解説した平行線を利用する解法をおすすめします。)
放物線のグラフと平行線の難問

二次関数のグラフの難問2別解のための問題文01

にゃんこ
(1)は先程の解答をご覧ください。(2)の別解を進めます。
計算力で突破する解き方(すごく大変です)

答:(3,18)

坂田先生
点Dのx座標は2より大きいということから、点Dの位置は放物線のグラフ\(y=ax^{2}\)上にありつつも、点Bよりも右側にあるということになります。
二次関数のグラフと直線の問題の解説
にゃんこ
このように計算が鬼のように大変ですが、別の方法もあります。次の別解もご覧ください。
坂田先生
ただし、こちらの解法の方が中学数学の範囲内で解くことができ、新しいことを学習する必要がありません。
公式を利用する解き方(大変です)
坂田先生
原点を通らない3点の座標から、三角形の面積を求める公式を使用して解くと、このようになります。
にゃんこ
面積を求める公式についてはこちらで解説しています。
解説:3点から三角形の面積を求める公式|必須テクニックも紹介
二次方程式グラフの別解
坂田先生
絶対値符号の外し方が少し難しいかもしれません。(こちらで練習できます。)絶対値の記号を外す練習問題と解説

この解法の利点について

坂田先生
この解法の利点は、先程の解法のように、放物線のグラフ上にある点Dとにらめっこをしながら、ごちゃごちゃと書き込むステップを省略できる点にあります。
にゃんこ
計算式が短くなる分、計算ミスも減るかもしれません。
坂田先生
ただ、こちらの別解の方法は、中学数学では学習しない公式です。
にゃんこ
この計算式を作ること自体は簡単なのですが、途中の計算でも中学数学や公立高校入試の学習範囲を超えた内容が登場しています。
 
放物線のグラフと平行線の難問2

二次関数グラフの難問3問目別解のための問題文02

坂田先生
(1)と(2)は前半に解説した方法です。(3)の別解を以下、ご覧ください。
計算力で突破する解き方(すごく大変です)

答:(-6,-9)

坂田先生
まず、下準備として、△AOBの面積を求めておきましょう。
二次関数グラフの難問3:解法3の下準備
にゃんこ
△AOBの面積は20ですね。
坂田先生
問題文に点Pを△APCの面積が△AOBの面積の\(\dfrac{4}{5}\)倍になるようにとる。とありますので、△APCの面積は△AOBの面積20の\(\dfrac{4}{5}\)倍である16だということがわかりました。
にゃんこ
点Pのx座標をnとおくと、この点Pは \(y=-\dfrac{1}{4}x^{2}\) 上にあるので、点PのY座標は \(-\dfrac{1}{4}n^{2}\) ということになります。
二次関数のグラフの難問3の解法3の2
にゃんこ
こんな疑問を持った方がいるかもしれません。
質問内容:二次関数のグラフ中学数学
坂田先生
点PのX座標をnとおいていますが、このnを求めた結果、nは-6でしたね。
にゃんこ
点Pは点Oから点Aの間にあるというのが問題の条件でしたので、この点Pのx座標は必ず負の数になります。
坂田先生
なので、-nというのは正の数を表していることになります。座標平面上における距離は全て正の数なので、-nとしているワケですね。
にゃんこ
点PのY座標である \(-\dfrac{1}{4}n^{2}\) も負の数なので、これを正の数で表すと \(\dfrac{1}{4}n^{2}\) ということになります。
坂田先生
ちなみにこの問題の練習方法は、座標平面上に距離を正確に書き込む練習だけをまずは徹底して練習してください。それから式を組み立て、計算力のチェックをしていきます。
にゃんこ
今回のような放物線のグラフの問題に限らす、高校入試数学の難問レベルとなると、こういった計算力が必要となる問題も多く見られるようになります。
計算力で突破する解き方(大変です)

答:(-6,-9)

にゃんこ
これもまた、公式を利用した別解です。公式の解説と練習はこちら。
解説:3点から三角形の面積を求める公式|必須テクニックも紹介
坂田先生
絶対値記号を外す練習はこちらです。
絶対値の記号を外す練習問題と解説
二次方程式グラフの別解2
坂田先生
これもまた、絶対値の記号の外し方が難しいかもしれません。
にゃんこ
絶対値の記号のなかの数値がプラスになる場合は、記号はそのままはずします。
坂田先生
解説は以上です。