2次方程式の面白い問題|右辺が積の形になっているパターン。中学数学~高校入試問題

2次方程式の面白い問題

2次方程式 \(\left( x-1\right) \left( x+2\right) =12\times 15\) を解きなさい。(大濠高校)
にゃんこ
この問題、ちょっと不思議な出題のされ方をしていると思いませんか?

右辺が\(12\times 15\) という掛け算の形で出題されています。

坂田先生
これは、実際に出題された高校入試問題ですが、問題制作者の意図を汲み取ることでスムーズに解答することができる典型的なパターンになっています。

ここでは、この面白い2次方程式の問題の解き方を解説していきます。

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右辺が積の形になった2次方程式の面白い問題|普通に解く場合

この2次方程式の問題を、まず普通に解こうとしてみます。

\(\left( x-1\right) \left( x+2\right) =12\times 15\)

これを、右辺が0になるようにすべて左辺に移項し、同類項を整理してみます。

すると、このようになります。

\(x^{2}+x-182\)

この次に考えるのが、かけて-182になり、たして1になる2数の組み合わせは何か?ということです。

坂田先生
もちろん、解の値が平方根付きの『無理数』だという可能性も踏まえておいてください。

解いていてる途中で、解が無理数になりそうだと判断した場合は、解の公式や平方完成を使うほうがいいでしょう。

参考:2次方程式の解の公式と平方完成の解き方手順

かけて-182になり、たして1になる2数の組み合わせ

2数をかけて負の数になるということは、2数は異符号ということになります。

その異符号をたして1になるということは、2数の絶対値の差は1だということですね。

(例えば11と-10の絶対値の差は1になります)

この方針の場合、以下3通りの方法によってその2数を突き止めることができます。

方法1:182を素因数分解して考える
方法2:解の公式や平方完成を使う
方法3:平方数であたりをつける(上級テクニック)

方法1:182を素因数分解して考える

これはこちらで特集した『係数や定数項の大きい場合の因数分解』で練習できるテーマです。

参考:係数や定数項の大きい因数分解の解き方と練習問題

xの係数や定数項が大きい場合は、定数項の部分を素因数分解してから、2数を探すのが効果的です。

定数項の大きい2次方程式の解き方の説明図

方法2:解の公式や平方完成を使う

この手順の解説は省略します。

方法3:平方数であたりをつける

2数は、絶対値の差が1になり、その積が−182になるというところまでわかりました。

積が負の数になるということから、この2数は異符号だということですが、その絶対値だけを見ると、当たり前ですが、ともに正の数になりますね。(絶対値なので)

この2つの正の数をかけると、当然+182になります。

まずは、この2つの正の数を探すことを考えます。

この2つの正の数は、差が1なので、かなり近い値だということになります。

さらにこの2つの正の数は、ともに182の約数になっています。

探している2つの正の数は、182の約数でかつ、その2数の差が1となる

ということです。

このように、2数の差が近い位置にある場合に有効なのが、『平方数であたりをつける』という方法です。

この問題だと、このようになります。

\(13^{2} <182 <14^{2}\)

この不等式からわかることをざっくり説明しますとこういうことです。

求める2つの正の数を〇と△とする

\(13\times 13=169\)

\(〇\times △=182\)

\(14\times 14=196\)

差が1となるほど値が近い2つの約数の積で182を作る場合

〇と△は13や14あたりだろうな、という目星がたつ。

‥ということです。

ただし、気を付けてほしいのは、求める2つの正の数が整数として存在するかどうかは不明、だということです。

たまたまこの問題は、13×14=182となり、

2次方程式の面白い問題の普通の解き方

このように解を求めることができましたが、問題によっては2の方法で解決するしかない場合もあります。

にゃんこ
以上が普通に解く場合の解き方です。

2次方程式の面白い問題(制作者の想定した理想的な解き方)

坂田先生
この問題は普通に解こうとすると、以上のように手間がかかるようにできています。

手間さえかければちゃんと解答を得られるのですが、以下の発想に気が付くと、かなりの短時間で解答可能となります。

2次方程式 \(\left( x-1\right) \left( x+2\right) =12\times 15\) を解きなさい。

まず、右辺の正の形がひょっとしたらヒントかも、と疑ってみます。

とりあえず左辺に合うように変形してみたら何か気が付くかも‥と思えたら最高です。

左辺のかたちに合うように、12×15を変形できないかと試みます。

するとこのようになります。
2次方程式の面白い問題の解き方。右辺を変形する
眺めてみて、なにか気が付くことはないでしょうか。

正解はこうです。
等式が成立するので

xに13を代入すると、等式が成立するので、二次方程式の解の一つは13だということがわかります。

それを利用して、もう一つの解を求めます。

もとの2次方程式を変形するとこうなります。

\(x^{2}+x-182\)

この解の一つが13なのですから、この左辺を因数分解した形はここまでわかります。

二次方程式の空欄。青色のaとb

これを見ながらまず【青色のA】を埋めることを考えます。

-13と【青色のA】の積は-182になるので、【青色のA】は(-182)÷(-13)で求めることができます。

その結果、もう一つの解も求めることができます。

2次方程式の1つの解からもう一つの解を求める手順の図解

答え: \(x=13,-14\)

坂田先生
以上の流れを一枚の図解にまとめるとこうなります。
大濠高校2次方程式2019の解説
にゃんこ
今回は、以下のページで登場した二次方程式の問題を取り上げ詳しく解説しました。
参考:【保存版】2次方程式の難問たち|中学数学~高校入試

坂田先生
もっとたくさん解きたいという方はこちらも特訓に使ってください。
参考:特訓になる因数分解の難問たち|高校入試編・中学数学

にゃんこ
因数分解のテクニックを磨きたいという方はこちらを利用してください。