偶数足す奇数の証明【間違い例とわかりやすい説明】苦手なら読んでください

偶数足す奇数は奇数の証明サムネ

にゃんこ
偶数足す奇数が奇数になることの証明について、わかりやすく説明していきます。
偶数足す奇数の説明図
坂田先生
このように図だとわかりやすいですね。これを文字式で証明していきます。
このページの内容
  1. 偶数と奇数の和が奇数になることの証明|間違い例
  2. 坂田先生
    僕の指導経験上、半分以上の中学生がまずこっちを書いて間違います。
  3. 模範解答例
  4. 類題
  5. ミスしやすいポイントと証明が苦手な人用の勉強方法
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偶数足す奇数が奇数になることの証明|間違い例

問題:偶数と奇数の和が奇数になることを証明せよ。
坂田先生
まずは間違いの証明例からご紹介します。
間違った証明の例その1
nを奇数とし、2nを偶数とする

その和はn+2n=3nなので

これは3×奇数なので、n+2nは奇数となる

よって偶数足す奇数が奇数になることが証明された

にゃんこ
え?これのどこが間違っているの?

偶数と奇数の和が奇数になることを証明せよ、などという問題の場合たがいに無関係な偶数と奇数を足して奇数になることを証明せよ』という意味になります。

坂田先生
たとえば4と51とか、10と79とか、どんな偶数と奇数をランダムに選んでもその和が奇数になることを証明せよ、という意味です。

ところがこの証明方法だと、nを奇数として、その2倍の2nを偶数とおいて証明を進めてしまっています。

例えば
nが1のとき2nは2
nが3のとき2nは6
nが5のとき2nは10
nが7のとき2nは14



といったように、限定された奇数と偶数の組み合わせのみで証明してしまっている、という点が間違いポイントです。

問題文は、どんな偶数と奇数をランダムに選んでもその和が奇数になることを証明せよという意味ですので、偶数と奇数は互いに無関係でなければなりません。

間違った証明の例その2

nを整数とし、

2nを偶数、2n+1を奇数とする

偶数2nと奇数2n+1の和は

\(2n+2n+1=4n+1\)

nは整数なので4nは偶数となり、4n+1は奇数となる

よって、偶数足す奇数は奇数となることが証明された

にゃんこ
この証明の間違いの理由はわかりましたか?
これも先程と同じようなミスをしてしまっています。

つまり、たがいに無関係な偶数と奇数の和が奇数になることを証明しなければいけないのに、それができていない、ということですね。

坂田先生
大事なことなのでもう一度言いますが、6と91とか、12と37とか、どんな偶数と奇数をランダムに選んでもその和が奇数になることを証明せよ、という意味です。

nを整数として2nを偶数とする、ところまではよかったのですが、2n+1を奇数としたところがまずかったですね。

これだと『連続する偶数と奇数の和が奇数になることを証明した』ようなものです。

たとえば
2nが2のとき、2n+1が3
2nが4のとき、2n+1が5
2nが6のとき、2n+1が7
2nが8のとき、2n+1が9



というように、連続した偶数と奇数の組み合わせに限定して、その和が奇数になるということを証明してしまったのです。

以上の理由により、この証明方法は間違った解答ということになります。

模範解答例

にゃんこ
つづいて模範解答の例です。
問題:偶数と奇数の和が奇数になることを証明せよ。
証明の模範解答
n、mを整数とし

偶数を2nと、奇数を2m+1をする

その和は

\(2n+2m+1=2\left( n+m\right) +1\)

n+mは整数なので、2(n+m)は偶数となり、2(n+m)+1は奇数となる

したがって偶数と奇数の和は奇数となる

にゃんこ
質問!なんでn+mは整数なのでという文句が必要なのですか?
坂田先生
はい。おこたえします。※これを書き忘れると0点です。次で詳しく説明していきます。

n+mは整数であることをなぜ書く必要があるのか?

n+mは整数であることをなぜ書くのか?

ある数が偶数であることを示したい場合、それが『2×整数というかたち』になっていてはじめて2×整数は偶数だということが言えます。

にゃんこ
2×整数以外のかたちなんてあるんですか?
坂田先生
2×小数とかあるよね。

たとえば2×3.5といったように小数をかけた場合

2×3.5=7となり、偶数にはならない場合が出てきますよね。

なのでわざわざn+mは整数である、と確認しておいて

2×(n+m)は2×(整数)のかたちなんですよ、とアピールしているワケです。

坂田先生
これを書かないと証明そのものが破綻するので、減点あるいは0点になってしまってもおかしくないぐらい重要なポイントです。
 

類題の解説

坂田先生
その他、よく見られる類題について、解説を加えていきます。(中学数学や高校数学で必要となる方は参考にされてください)
問題:偶数と奇数の差が奇数になることを証明せよ。
解答例
n、mを整数とし

偶数を2nと、奇数を2m+1をする

その差は

\(2n-2m+1=2\left( n-m\right) +1\)

n-mは整数なので、2(n-m)は偶数となり、2(n-m)+1は奇数となる

したがって偶数と奇数の差は奇数となる

奇数引く偶数の説明図
坂田先生
具体的に奇数と偶数の差について見るとこんな感じになります。
にゃんこ
このように、具体的に数値を置いて観察してみると、問題の意味がわかりやすいです。
問題:偶数と奇数の積が偶数になることを証明せよ。
解答例
n、mを整数とし

偶数を2nと、奇数を2m+1をする

その積は

\(2n\left( 2m+1\right) =4nm+2n=2\left( 2nm+n\right) \)

n、mは整数なので、2nm+nは整数となり、となり、 \(2\left( 2nm+n\right)\) は偶数となる

したがって偶数と奇数の積は偶数となる

問題:連続する2数の整数の和が奇数になることを証明せよ。
解答例1
nを整数とし、

2nを偶数、2n+1を奇数とする

偶数2nと奇数2n+1の和は

\(2n+2n+1=4n+1\)

nは整数なので4nは偶数となり、4n+1は奇数となる

よって連続する2数の整数の和が奇数になる

解答例2
nを整数とし、

連続する2数の整数をn、n+1とする

その和はn+n+1=2n+1

nは整数なので、2n+1は奇数となる

よって連続する2数の整数の和は奇数となる

坂田先生
この最後の問題ですが、このページのテーマとなっている『偶数と奇数の和が奇数になることを証明せよ』、との違いについてよく確認しておいてください。
にゃんこ
最後の問題は、奇数と偶数が連続していることが条件ですが、無関係な偶数と奇数だった場合の証明方法はこのページの前半で解説した内容になります。
 

証明で気を付けるべきポイントと証明が苦手な人用の勉強方法

気を付けるべきポイント

このページでご紹介したような、文字式で証明を進めていく問題について、解答を間違えないための、僕なりのアドバイスを紹介させていただきます。

最初の問題を例にあげるなら、「n+mは整数であることをなぜ書く必要があるのか?」で解説したように、偶数であることを証明しようとする場合『2×整数のかたち』になっていないと証明できたことになりません。

にゃんこ
例えば整数でなくて小数の場合だと、2×1.5だと3になってしまい、偶数ではありませんよね。

僕の経験上、このポイントで間違ってしまう方が、かなりいらっしゃいます。

なので、文字式で証明する際には、このポイントに気をつけてください。

証明問題が苦手な場合の練習方法

証明問題を練習しようと思ったら、効率的な手順が以下のようにあります。

まず、問題を理解する。

次に、解答を読み、どのような手順で証明しているのかを理解する。

解答を見ながら、その証明の、大きな流れがどうなっているかを自分の言葉で説明する。

次に証明を一行ずつ、自分の言葉で説明していく。

(この一行はココとココが同じことを言っている、など)

ここで意味がわからない部分が出てくることもよくあります。

そんな場合は、調べるか、誰か知っている先生などに聞いて、解消しておくといいでしょう。

スラスラ言える状態になって初めて、書く練習をします。

坂田先生
ポイントは、書く練習は最後の最後で行う、というところです。
以上、証明問題が苦手な場合の練習方法でした。
坂田先生
このページの学習は以上です。